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決算書クイズで学ぶ実学
第7問:この決算書(PL・CF)はどっち?
今回は、私たちが普段の移動や旅行で使う「日本の大動脈」を支える航空インフラ大手2社の、コロナ禍からの回復期における財務データ(損益計算書:PL、およびキャッシュフロー:CF)をベースにしたクイズです。
どちらも同じように「飛行機を飛ばして旅客を運ぶ」アライアンス(航空連合)の双璧ですが、過去の経営危機の歴史や、航空機の「持ち方(自社保有かリースか)」の思想の違いによって、財務体質に明確な差が生まれています。 【A社】と【B社】、それぞれどちらの企業か当ててみてください!
【選択肢】
- ANAホールディングス(全日本空輸)
- 日本航空(JAL)
【2社の財務特徴(コロナ禍直後の回復期における比較)】
| 注目する財務指標 | 【A社】の特徴 | 【B社】の特徴 |
|---|---|---|
| 自己資本比率 | 約 30% 前後(借入金が多く一時低下) | 約 40〜45% 前後(高い財務健全性を維持) |
| 有利子負債 | 非常に大きい(1兆円以上) | A社に比べてコントロールされている |
| 減価償却費の規模 | 非常に大きい(自社購入比率が高い) | A社より抑えめ(リース機材をうまく活用) |
【ヒント】
- 2010年の歴史的転換点: 一方は、2010年に一度法的整理(経営破綻)を経験しています。その際、不採算路線の撤退や大規模な債務免除、機材の小型化・リース化を徹底的に行い、「筋肉質で高効率な財務体質」に生まれ変わりました。
- 民間主導の拡大路線: もう一方は、破綻したライバルを横目に日本の最大手としてのネットワークを維持・拡大してきました。コロナ禍では巨額の借入を余儀なくされましたが、自社保有の機体という大きな資産を持っています。
- 「経営破綻を経て徹底的にスリム化した企業」と、「日本の最大手として機材を自前で抱えながら拡大してきた企業」のBSの重み・借入金の差に注目してみてください。
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【正解】
- 【A社】 = ANAホールディングス
- 【B社】 = 日本航空(JAL)
同じ空のインフラでも、歴史的な経緯によって財務の形が大きく異なります。
🔍 着眼点:なぜANA(A社)は借入金が多く、減価償却費が重いのか?
ANAはJALの経営破綻後、国際線を大幅に拡張し、名実ともに「日本1位の航空会社」へと上り詰めました。ANAの戦略の特徴は、航空機を「自社で購入して保有する」割合が比較的高い点にあります。
自社保有すると、PLには毎年巨額の「減価償却費」がのしかかります。これがコロナ禍のような「全く飛行機を飛ばせない大ピンチ」の時期には、固定費として重く重くのしかかり、巨額の赤字を出しました。その結果、手元の現金を切らさないために銀行から巨額の借入を行ったため、有利子負債が1兆円を超え、自己資本比率が約30%まで低下するという重いBSになりました。ただし、機体を自前で持つことは、長期的に見ればリース料を払い続けるよりもコストを抑えられるというメリットもあります。
🔍 着眼点:なぜJAL(B社)は財務の健全性(自己資本比率)が高いのか?
JALを読み解く最大の鍵は、2010年の経営破綻(民事再生法の適用)とその後の再生プロセスにあります。破綻処理の際、数千億円規模の債務免除を受けただけでなく、ジャンボジェットのような燃費の悪い大型機をすべて売却し、燃費の良い中小型機へシフトしました。さらに、機体を自社で買い取るのではなく「リース(賃貸)」にする割合を増やしました。
これにより、BSから「重い固定資産」と「それを買うための借入金」が消え、劇的にスリムな財務体質(低燃費な経営)になりました。この時に作られた「高収益・高自己資本比率(40%超)」という筋肉質な防衛力があったからこそ、コロナ禍という航空業界最大の危機においても、ANAほど傷口を広げずに持ちこたえることができたのです。
💡 本日のまとめ
- 自前保有・拡大路線型(ANA): 日本のメガキャリアとして機材を自社保有。ピンチの時は固定費と借入金が重くなるが、レバレッジを効かせた爆発力がある。
- 破綻再生・筋肉質型(JAL): 経営破綻の教訓から、機材のリース化や効率化を徹底。BSを軽く保ち、危機に強い高健全性を維持する。
本日の注目銘柄
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